公演案内 雑記

日生劇場の「カプレーティとモンテッキ」

オペラ歌手の須藤慎吾です。
日生劇場は私の大好きな劇場の一つです。
丁度よいアクスティカ((伊)音響効果)、装飾(天井等の貝殻が素敵)、落ち着いた雰囲気のロビー、どれもオペラ鑑賞の気持ちを高めてくれます。
特に個人的には日生劇場のカプレーティとモンテッキ(以降C&M)に思い入れがあります。
というのも、帰国して初めて受けたオーディションが2007年のC&Mだからです。

shingo
当時を振り返ってみると

2007年C&Mのオーディションには”音楽の友”の募集をみて気が付きました。
帰国したばかりですることもなかった私は軽い気持ちで参加を決めたのを覚えてます。
日本でオーディションを受けること自体が初めてだったこともあり、当日オーディション会場に溢れるほどいるコンコレンティ(concorrenti(伊)オーディション等の出願者)にはかなり驚きました。
当時聞いた話では、各役合わせたコンコレンティ総数は軽く3桁超えてたとか。

shingo
「日本にもオペラ歌手って一杯いるんだ!?」
と衝撃をうけました。笑

無名無所属だったにもかかわらず出演できたC&M(2007)が革新的だったのが、”原語による上演””映像を取り入れた演出”
それまでの日生劇場は”オペラの裾野を広げるために日本語訳によるオペラの上演をする”のが普通だったそうですが、シリーズとして初の原語上演でした。
そして今となっては映像をとりいれた演出は珍しくありませんが、幕間に映像作品が挿入された田尾下徹さんの演出は、当時とても斬新なものでした。
その映像作品の収録で兵士に連れ去られるロレンツォを熱演した(笑)私でしたが、編集された映像ではほとんど映っていませんでした。今となっては良い思い出です。笑

あと、このプロダクションで記憶にあるのは殺陣の稽古ですね。
長老風(長髪の白髪とひげで顔が見えない上に杖を常時ついているかなり年配の設定)だったロレンツォ役でしたので、殺陣のシーンでは逃げ惑う演技のみでしたが、なぜか稽古では兵士役の皆さんと一緒にサーベルを持って振り回す基本練習をさせていただきました。
おかげさまで本番では逃げ惑う動線を確保するのに役に立ちました。

shingo
不器用なくせに体を動かすのは好きなので、殺陣練習はすごく面白かったです。

次々と当時の記憶が蘇るのですが、そういえばオーディション会場で会った先輩歌手に「あれ?須藤、歌やめたんじゃなかったっけ?」と言われましたね。笑
イタリアでの活動期間は全くといっていいほど日本に帰ることも連絡もしてなかったので仕方がなかったと思います。
その後、オーディション合格通知がきてすぐに歌う気満々になったわけですが、公演が1年半後だと気づいたときは愕然としたのをおぼえています。

shingo
募集要項はちゃんと読んでおこうね

そんな感じで思い出いっぱいのC&Mですが、2021年の新演出「カプレーティとモンテッキ」に出演します。
ニュープロダクションですから、演出はもちろん出演者(私以外)もオーケストラも違います。
今度のC&Mは、フライヤーから受ける印象だと王道のイタリア・オペラといった感じになりそうです。
この作品を初めて観る方には特におすすめですね。
公演は11月。
詳細は下記の通り。
お楽しみに!

shingo
私も楽しみです。

それでは、良い歌を!


NISSAY OPERA 2021 『カプレーティとモンテッキ』

”圧倒的に美しい音楽で描かれる、もう一つの『ロミオとジュリエット』の物語。堂々の新制作!”

全2幕(原語(イタリア語)上演・日本語字幕付)
台本:フェリーチェ・ロマーニ
作曲:ヴィンチェンツォ・ベッリーニ

指揮  鈴木 恵里奈
演出 粟國 淳(日生劇場芸術参与)
管弦楽 読売日本交響楽団

【日程】
2021年 11月13日(土) 11/14(日)14:00開演

【キャスト】 11/13(土) 11/14(日)
ロメーオ 山下 裕賀 加藤 のぞみ
ジュリエッタ 佐藤 美枝子 オクサーナ・ステパニュック
テバルド 工藤 和真 山本 耕平
ロレンツォ 須藤 慎吾 田中 大揮
カペッリオ狩野 賢一 デニス・ビシュニャ

主催:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]
協賛:日本生命保険相互会社

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