結論:低い声の出る仕組みを理解して、そのための発声練習をする。
・低い声について
・低い声の出し方
・練習方法「エッジボイス」
エッジボイスとは
エッジボイスの出し方
エッジボイスを使った発声練習
皆さん、こんばんは。 オペラ歌手の須藤慎吾です。
前回の記事で声や歌の悩みを募集したところ、早速いくつかいただきました。←皆さんご協力ありがとうございます。
第1回目のお悩み相談は「低い音が出しにくいのですが、どう考えたら良いでしょうか?」です。
この”どう考えたら良いでしょうか?”というところが、答えにたどり着く一歩手前という感じですね。
この方なら自分で解決できる可能性も高いと思います。
低い声に対する悩みを持っている方は男女を問わず意外と多いようです。
それでは、早速お悩みにお答えしていきましょう。
低い声について
低い声と高い声の出し方にはそれほど大きな違いはありません。
声帯の形状による声域の限界の他は、息と声帯振動の感覚が逆なだけです。
ただし、この小さな違いを勘違いしてしまうと「正しいと信じた努力が実は全く逆効果だった」という事が多々あります。←これって声楽アルアルかもしれません。
知っておくべき違いを2つ上げておくと、
声域は高音方向には訓練で広がる可能性は高いが、低音方向には訓練では広がらない傾向にあります。
長く厚い声帯は低い声を出しやすいと言われてます。
この事実を踏まえた上で、自分の声にあった調やレパートリーを考える必要があります。
このため、声出すときの体の使い方(頑張り方)が変わってきます。
声帯と息のイメージとして(車やバイクに乗る人にしか分かりづらいと思いますが)
高い音=高速道路を巡航時にギアを下げてエンジンを激しく回転させて走る感じ
低い声=高速道路を巡航時にギアを上げてエンジンを穏やかに回転させて走る感じ
何を言いたいかというと、声を出すときの体の使い方が似て非なるということです。
高い音は、息を吐き続けるが、鋭く細く吐く。
低い音は、息を吐き続けるが、ゆっくりと柔らかく吐く。
以下に低い声の出し方を解説します。
低い声の出し方
低い声は(高い声に比べて)
よくやってしまう間違った努力は、中音域と同じぐらいの息のスピードにして、声帯を必要以上に緊張させてしまうことです。
上記のような喉と息の使い方で、リラックスした喉の状態で声帯を丁寧に閉じて、息は多めでもゆっくりとしっかり振動させることが秘訣です。
丁寧に考えながら声を出してみると、低い声が出しやすいのが体感できると思います。
ただし、上記のようなことを演奏中にすることは難しいので、曲の演奏の中でも使えるようにするためには日々の低音練習も必要になってきます。
練習方法「エッジボイス」
エッジボイスとは
最初は「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」という練習を行います。
稽古場や若手歌手が楽屋で上記のようなうめき声練習しているのに遭遇することも珍しくありません。←ホントカ?
ホラー好きな学生を指導している時「わかった!呪怨のやつだ!」「伽椰子だ!」とあっさり習得する学生もいます。
私は映画は好きですがホラーが怖いので見たことがありません。
エッジボイスの出し方
まずは難しく考えずに映画「呪怨」の「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」を声真似をしてみましょう。
これでできちゃう人が意外と多いです。
できなかった場合は、
1.喉をリラックスさせる。
2.ものすごく軽くいきんで、優しい感じで息を止めます。
3.最小限の息の量で一番低い声を出そうとする。胸に響くのをイメージする。
それでもできなかった場合は、
・出しやすい音域の地声を出しつつ、息を減らしながら音程を下降していく。
・吸いながら伽椰子風の声を出してみる。
・寝起きに上記を試してみる。
エッジボイスを使った発声練習
練習を通して、最低限の息で声帯をゆっくり振動させる感覚を身につけましょう。
「最低音でエッジボイスが混じったような声を出してみる。」
例1)ファミ♭レドシ♭ーーー、ミレレ♭シラーーー、ミ♭レ♭ドシ♭ラ♭ーーー
あああああーーー あああ ああ”ーーー あ あ ああ あ”ーーー
最低音でエッジボイスが混じったような声を出してみる。
「すべての音でエッジボイスが混じったような声を出し見てみる」
例2)ド レミ レ ドー ド#レ#ファレ#ド#ー、レミファ#ミレー
”あ”あ”あ”あ”あ” ”あ” あ” あ” あ” あ” ”あ”あ”あ”あ”あ”
これらの練習で感覚を掴んだら、低声を獲得するために普通のヴォカリーズ(発声練習)をすることが重要です!
最後に
今回のお悩み相談は以上となります。
引き続き、皆さんのお悩みは随時募集中です。相談はこちらのコンタクトから!
声の悩み、オペラで不思議に思っていること、声楽に関することなら(ちょっとぐらい関係してなくても)OKです。
それでは、良い歌を!